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老齢年金や遺族年金に関する手続き

年金事務所などに死亡届を提出する

故人が老齢年金などの公的年金を受給中だった場合には、年金を止めるため遺族などが年金受給権者死亡届を提出します。年金受給権者死亡届の提出期限は、死亡した時から10日以内(国民年金は14日以内)で、提出先は最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターです。この届出が遅れると、後で過払いの年金を返さなければならないこともありますので注意しましょう。

また、年金は死亡月の分まで支給されますが、故人が受取るはずだった年金が残っているときは遺族に支払われます。ここでいう遺族とは、故人と生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹で、優先順もこの順です。

年金は後払いですので、対象となる遺族がいるときは死亡届と同時に請求しましょう。手続きには、所定の請求書のほか次の書類が必要です。

  1. 故人の年金証書
  2. 死亡の事実を証明する書類(戸籍謄本、死亡診断書のコピーなど)
  3. 故人と請求者の身分関係を証明する書類(住民票の写しなど)

なお、死亡届だけを提出する場合は3は不要です

↓日本年金機構のホームページからダウンロードできる届出用紙です。

一定範囲の遺族に遺族年金が支給される

老齢年金を受給していた人が亡くなると、一定の遺族に対して遺族年金が支給されるようになります。

遺族年金には、国民年金から支払われる遺族基礎年金と、厚生年金から支払われる遺族厚生年金(公務員は遺族共済年金)があります。これらは対象とする遺族の範囲が異なるため、基礎年金はもらえないが厚生年金はもらえるというケースがあります。

また、遺族年金は、老齢年金の受給者だけでなく、公的年金に加入中の人(まだ年金を受給していない人)や、以前加入していて一定の要件を満たす人などが死亡した場合にも支給されます。制度をよく理解し、くれぐれも支給漏れのないようにしましょう。遺族基礎年金・遺族厚生年金の裁定請求期限は5年ですが、忘れないうちにすみやかに請求しましょう。

寡婦年金や一時金が支給されることもある

国民年金は全国民共通の制度です。自分で保険料を納める第1号被保険者だけでなく、サラリーマンも第2号被保険者として加入していますので、まずは遺族基礎年金のチェック表で、受給資格を満たしていないか確認しましょう。年金額は年度ごとの定額と、子の加算額の合計となっています。

もっとも、遺族基礎年金の支給対象は、子のいる妻または子に限られているため、受給できるケースはさほど多くありません。それでは保険料の払い損になってしまうことから、第1号被保険者として保険料を納めた期間が一定以上ある人については、寡婦年金または死亡一時金の給付が設けられています。

 

遺族基礎年金のチェック表 

支給要件☆被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、加入期間の3分の2以上あること)
※ただし平成28年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡月の含する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
対象者☆死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある妻 (2)子
子とは、次の者に限ります。

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
年金額 ☆786,500円+子の加算
 子の加算 第1子・第2子 各 226,300円
 第3子以降   各  75,400円
 ※子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。

寡婦年金・死亡一時金の概要

寡婦年金死亡一時金
支給要件☆第1号被保険者の保険料納付期間(免除期間を含む)が25年以上
☆老齢年金などを受けていない
☆第1号被保険者の保険料納付月数が36月以上
☆老齢年金などをうけていない
☆遺族基礎年金の対象となる遺族がいない
対象者☆故人により生計を維持されていた婚姻期間10年以上で65歳未満の妻☆故人と生計を同じくする配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
年金額☆老齢基礎年金の4分の3相当額☆保険料納付月数に応じた定額

※両方の受給資格があるときはどちらか一方を選択します。また、寡婦年金は妻が60歳から64歳までの間支給されますが、遺族年金などと同時に受けることはできませんので、有利なほうを選択することになります。

加入期間が短くても受給できることもある

遺族厚生年金は遺族の範囲がぐっと広くなっています。子のいない妻や夫、さらには父母、孫、祖父母まで対象になりますので、たとえ短い期間でも故人が厚生年金に加入していたら必ずチェックしてみてください。

年金額は、故人の標準報酬月額や被保険者期間をもとに計算され、老齢年金の4分の3相当額となっています。(受給権者が自身の老齢厚生年金も受けられる場合は、年金額が異なる、あるいは年金額を選択できるケースがある。)また、夫の死亡時に40歳以上60歳未満で、生計を同じくする子がいない妻などが受ける場合には、一定の加算があります。

遺族厚生年金のチェック表

支給要件故人が死亡当時、次のいずれかに該当していること
☆厚生年金に加入中
☆被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。
(上記2つは遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること)
※ただし平成28年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡月の含する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

☆老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき
☆1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき
対象者☆妻
☆子・孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
☆55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から支給)
※子のある妻、子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。
年金額老齢厚生年金の4分の3相当額

中高齢の加算

次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、589,900円(年額)が加算されます。

  • 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る。)が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき

経過的寡婦加算

次のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算されます。

  • 昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(上記2の支給要件に基づく場合は、死亡した夫の厚生年金の被保険者期間が20年以上(または40歳以降に15年以上)ある場合に限ります)
  • 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳に達したとき
    経過的寡婦加算の額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢の加算の額と同額になるよう決められています。

まずは年金事務所などで相談を

年金も一時金も、受給権のある人が自ら請求しないともらえません。一番有利な受給のしかたを含め、まずは、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターで相談してみましょう。

相談の際には、故人と請求者の年金手帳や年金証書などを持参します。また、本人以外が相談や請求をおこなうときは、本人の委任状が必要です。

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