相続手続 遺言書作成 死後事務委任 の専門家

遺産分けの対象になる財産

遺産の数や種類は被相続人ごと、家庭ごとにさまざま。代表的なものは以下のとおりです。当てはまるものがないか徹底的に調べましょう。
相続税がかからないケースや現物分割をおこなうケースでは、相続人が納得すれば、必ずしも厳密な価格調査をおこなう必要はありません。

不動産[土地・家屋(地上権を含む)]

相続財産として一番代表的なもので、価格が大きいのが不動産です。居住用の土地建物だけでなく、事業用に使っているもの、人に貸しているもの、農地、山林、また、地上権という、その土地を使う権利(借地権など)も含まれます。
不動産については、実際に売却したと想定するときの価格、相続税の評価基準になる路線価など、いくつか評価方法があるので、評価方法について相続人間で摺合せをしておく必要があります。

種類細目備考
土地(地上権含む)自用地、貸付地、貸借地(耕作地)永小作権
宅地自用地(事業用、居住用、その他)貸宅地、貸家建付地、借地権(事業用、居住用)
山林普通山林、保安林、これらの山林の地上権または貸借権
その他の土地原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地、これらの土地の地上権、貸借権、温泉権または引湯権
家屋家屋自用家屋、貸家(アパートなど)
構築物駐車場、養魚池、広告塔

事業用資産

被相続人が個人事業や農業をしていた場合は、事業用資産も相続財産になります。事業に使う器具・機械だけでなく、事業の成果物(商品・製品)や取引相手との売掛金なども対象になります。

種類細目備考
事業用(農業用財産)器具、機械、農機具、その他の減価償却資産機械、器具、農機具、自動車、船舶、牛馬等、果樹、営業権
商品、製品、半製品、原材料、農産物など
売掛金
その他電話加入権、受取手形など

有価証券

株式や公債、投資信託などの商品も相続財産になります。株式は毎日相場が変動するので、相続税評価基準による価格評価をおこなうのがよいでしょう。

種類細目備考
有価証券株式、出資上場株式や非上場の同族会社の株式や出資
公債、社債国債や地方債、社債(利付債、割引債など)
証券投資信託、貸付信託の受益証券

現金・預貯金など

現金や預金は額面が分かりやすいので一番調査がしやすい財産です。通帳記入をするか、残高証明書を発行してもらって価格を確定しましょう。定期預金に関しては、利子も多額になるので、それも含めて証明書を発行してもらいましょう。

  • 現金、普通預金、当座預金、定期預金、通常貯金、定額預金、定期積金、金銭信託など

家庭用財産

家具や家電製品、被相続人の所有していた衣料品なども相続財産になります。各相続人がそれぞれ欲しいものがあれば細かくリストアップしていくことも可能ですが、一般的には自宅不動産を相続する人が「家庭内動産一式」という名目で相続するケースが多いです。

生命保険金(被相続人が受取人または、契約者かつ被保険者でない場合)

被相続人が被保険者かつ、保険金受取人となっている場合、死亡保険金が相続財産となります。
また、被相続人が被保険者でなく、かつ、保険料を支払う契約者であった場合、「契約者としての権利」が相続の対象となり、相続人に名義変更をすることが可能です。

貴金属、書画、骨董、自動車など

これらの財産は、一般の人には評価が難しいものです。厳密な価格評価をおこないたい場合には、専門家による鑑定が必要になります。

貸付金、未収入金、未支給年金、受取手形など

被相続人の死亡前に支払事由が発生していた金銭は相続財産になります。勤務先の企業への未払い給与の請求や、未支給年金の請求も忘れずにおこないましょう。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権とは、一定の預託金や年会費を支払うことで、ゴルフ施設を優先、特典的に利用できる資格を取得するというものです。

ゴルフ会員権の内容は、会員規約によって個別に定められるため、その種類、性格が多様です。

ゴルフ会員そのものの地位は、収入や職業等、入会者の個性に注目して付与されるものであり、一身専属権として相続の対象とならないと解釈されています。

しかし、ゴルフ施設の利用に関わる権利内容で、 会員権の譲渡によってその会員の交替が予定されているものについては、相続の対象となります。

相続の対象となる場合は、通常複数の相続人が共同で会員の権利内容を行使することは認められていないので、遺産分割によって1人の相続人に相続させることになります。

会員規約によって相続が禁止されている場合(会員の死亡が資格喪失要件になっている規約がある場合)には、 会員権の相続はなされず、会員の死亡は会員契約終了原因となります。

この場合、各相続人は預託金返還請求権や滞納している年会費の支払義務といった具体的金銭債権、債務のみを相続することになります。

無体財産権

特許権、実用新案権、著作権、電話加入権、営業権などの権利も相続の対象になります。
また、被相続人が犯罪や交通事故などで死亡したときの損害賠償請求権や、慰謝料請求権なども相続の対象になります。

相続財産に含まれないもの

被相続人の死亡を原因に支払われる金銭等であっても、一定の財産は相続財産の対象から排除されます。

生命保険金(受取人が指定されているまたは、相続人となっている場合

被相続人の死亡によって請求権が発生することから、相続財産に組み込まれるような気もしますが、受取人指定がされているものに関しては、その受取人固有の権利として相続財産の対象から排除されます。

また、受取人を単に相続人としている場合でも、相続人固有の相続財産の対象から排除されます。

受取人の指定をしていない場合も、通常は契約約款で「相続人に支払います」となっているので、前記のとおりになります。

死亡退職金

死亡退職金については、被相続人が生きていれば受取ることのできた退職金の前払いとして考えれば相続財産に組み込まれるような気もしますが、遺族の生活保障として支給されるという性質上、遺族固有の財産として相続財産の対象から排除されます。

死亡退職金を誰が受取るかなどの規定は勤務先の企業が個別に設定できるため、詳細は個々のケースごとに確認が必要です。

香典

香典は、被相続人の死亡を契機に生じる財産的利益であるため、これを相続財産と考えるべきかが問題となります。

香典は、死者の供養、遺族への見舞いや葬儀費用の負担の軽減、など様々な趣旨で交付されるものですが、法律的には、遺族の代表者(喪主)に対する贈与として解釈されています。よって、香典は相続財産の対象から排除されます。

祭祀財産

祭祀財産とは、墓地・墓石、位牌や仏壇、家系図など先祖代々の宗教上の祭具のことをいいます。

祭祀財産は、その特殊性から相続財産とは別個のものとして、独自の承継方法が規定されています。

祭祀財産は、一般の相続財産と異なり、相続人による共有という承継方法ではなく、「祖先の祭祀を主宰すべき者」への単独承継が規定されています。

祭祀財産は、たとえ金銭価値があっても相続財産の対象から排除されます。

遺族年金

遺族年金は、被相続人が生きていれば受取ることのできた年金を遺族が受取るということを考えれば相続財産に組み込まれるような気もしますが、遺族の生活保障として支給されるという性質上、受給者固有の権利として、相続財産の対象から排除されます。

 

こんな債務がないか要チェック!

借入金・各種ローン・保証債務

信用情報や銀行の取引記録などを調査し、漏れがないようにしましょう。

クレジットカードの未決済金

未決済金を放っておくと利息が付いて債務が膨らんでいってしまいます。早目に解約手続きをとりましょう。

損害賠償義務

故人が生前に負っていた損害賠償義務も相続人が負うべき債務となります。

公租公課(未納の税金など)

故人が支払うべき所得税や住民税、固定資産税なども相続人が負うべき債務となります。

事業用の未払い金や買掛金

特に個人事業をされている方については、未払い金や買掛金についての調査が必要です。また、会社を経営している方については、通常、個人が会社の債務を直接負担することはないのですが、保証人というかたちで債務を負っている場合があるので注意が必要です。

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