相続手続 遺言書作成 死後事務委任 の専門家
未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときは、親権者や離婚後の子どもの生活について考える必要があります。
2026年4月1日の改正民法施行により、離婚後も父母双方を親権者とする「共同親権」を選べるようになりました。
父母の一方を親権者とする「単独親権」を選ぶこともできます。
大切なのは、子どもが安心して暮らし、成長できる環境を整えることです。
親権者の決定と併せて、誰と暮らすのか、日々の世話をどう分担するのか、養育費や親子交流をどうするのかを具体的に考えましょう。
親権とは、未成年の子どもの養育や財産管理などを行うための権利と義務です。
対象となるのは、原則として18歳未満の子どもです。
親権には、大きく分けて次の内容が含まれます。
| 内容 | 主な役割 |
|---|---|
| 身上監護 | 子どもの身の回りの世話、教育、住む場所の決定など |
| 財産管理・法定代理 | 子どもの財産を管理し、契約などの法律行為について代理や同意をすること |
親権は、子どもの利益のために行使するものです。
また、親権者になるかどうかにかかわらず、父母には子どもの人格を尊重し、養育・扶養する責任があります。
監護権は、一般に、子どもと生活して世話や教育をする「身上監護」に関する権利と義務を指します。
その役割を担う者として定められるのが「監護者」です。
離婚後に共同親権とする場合でも、父母の一方を監護者に定めることができます。
父母の合意で決められない場合には、家庭裁判所の手続を利用します。
共同親権であっても、一方が監護者に指定されている場合、その親は子どもの監護・教育、住む場所、職業に関する事項を単独で決定できます。
ただし、監護者であることだけで、子どもの財産管理や身分行為の法定代理まで単独で行えるわけではありません。
単に子どもと同居することと、法律上の監護者を定めることは区別して考える必要があります。
離婚後の親権には、次の2つの形があります。
①共同親権=父母の双方が親権者になる。
②単独親権=父母の一方が親権者になる。
協議離婚では、父母の話し合いによって決めます。合意できない場合は、家庭裁判所の手続で解決を図ります。
法律上、共同親権と単独親権のどちらかが原則とされているわけではありません。 子どもと父母の関係、父母同士の関係、これまでの養育状況などを踏まえ、子どもの利益を中心に判断します。
裁判所は、次のような場合には単独親権としなければなりません。
ここでいうDVには、身体的な暴力だけでなく、精神的・経済的・性的なDVも含まれます。
安全に話し合えない事情がある場合は、無理に当事者同士で合意しようとせず、弁護士や支援機関に相談することが大切です。
協議離婚では、原則として親権者を定めて離婚届を提出します。
ただし、親権者について合意できず、家庭裁判所に親権者指定の調停または審判を申し立てている場合は、親権者を定めていない状態で協議離婚の届出をすることもできます。
この場合は、申立て後に離婚届を提出し、調停・審判の手続で親権者を定めることになります。
具体的な手続や必要書類は、家庭裁判所と届出先の市区町村に確認しましょう。
親権者を決める際は、子どもが安心して暮らし、成長できることを最優先に考えます。
これまでの養育状況や父母との関係、今後の生活環境、子ども自身の気持ちなどを総合的に考慮します。
子どもの年齢や成長段階によって、配慮したいことも変わります。次の表は、その目安をまとめたものです。
| 乳幼児期(おおむね0~5歳) | 日常的に世話をしてきた人との関係や、安心して過ごせる生活環境を大切にします。 食事・睡眠・健康管理など、継続して必要な世話を受けられるかを考えます。 |
| 小学生頃(おおむね6~11歳) | 家庭での安心感に加え、学校生活や友人関係、転居・転校による影響にも配慮します。 年齢や理解の程度に応じて、子どもの気持ちを丁寧に受け止めます。 |
| 中学生頃(おおむね12~14歳) | 本人の考えや希望を尊重し、学校生活や交友関係、今後の進路への影響を考えます。 父母への遠慮から、本心を言えないことがある点にも配慮します。 |
| 15~17歳 | 本人の意向を十分に確認し、進学・就職などの希望や生活の自立に向けた見通しも踏まえて考えます。 ただし、親権者を決める責任を子どもだけに負わせないことが大切です。 |
※年齢区分は、配慮すべき点を整理するための目安であり、法律上の判断基準を示すものではありません。年齢や父母の性別だけで、親権者が決まるわけではありません。
子どもの意見は、15歳未満であっても、年齢や発達の程度に応じて尊重する必要があります。 「父と母のどちらを選ぶのか」と回答を迫らず、安心して気持ちを伝えられるようにしましょう。
きょうだいがいる場合には、それぞれの気持ちや、きょうだい同士の関係にも配慮しながら、子ども一人ひとりにとって望ましい生活を考えることが大切です。
共同親権の場合、親権は父母が共同して行います。
ただし、一方が親権を行うことができない場合は他方が行います。
また、監護教育に関する日常の行為(日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、子どもに重大な影響を与えないもの)をするとき、こどもの利益のために急迫の事情があるときには、親権の単独行使ができます。
個別具体的な事情にもよりますが、日常の行為に当たる例、当たらない例として次のようなものがあります。
| 日常の行為に当たる例(単独行使可) | 日常の行為に当たらない例(原則として共同行使) |
|---|---|
|
|
※父母の一方を監護者に定めている場合、その親は、子どもの監護・教育や住む場所などに関する事項を単独で決定できます。ただし、監護者であることだけで、財産管理まで単独で行えるわけではありません。
父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合などの急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行使できます。
①DVや虐待からの避難(転居を含む)をする必要がある場合
②こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
③入学試験の結果発表後に入学手続きの期限が迫っている場合
などが具体例としてあげられます。
共同で決める必要がある事項について話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に「親権行使者の指定」の調停・審判を申し立てることができます。
これは、進学先の決定など、特定の事項について、父母のどちらか一方が単独で親権を行使できるようにする手続です。共同親権そのものを単独親権に変更する手続とは異なります。
親権者を決めるだけでは、離婚後の子育ての方法がすべて決まるわけではありません。
次の事項も整理しておくと、認識の違いを減らせます。
| 項目 | 話し合っておきたい内容 |
|---|---|
| 子どもの生活 | 主に暮らす場所、転居・転校への対応 |
| 監護の役割 | 監護者を定めるか、日々の世話をどう分担するか |
| 教育・医療 | 進学や治療についての相談方法、緊急時の対応 |
| 情報共有 | 学校生活や健康状態の伝え方、連絡手段 |
| 養育費 | 金額、支払日、支払期間、進学費用などの負担 |
| 親子交流 | 子どもの意向や安全に配慮した方法・頻度 |
| 見直し | 進学や生活環境の変化があったときの相談方法 |
共同親権にしても、子どもが父母それぞれの家で半分ずつ暮らす義務が生じるわけではありません。
子どもの生活に合った養育の方法を考えることが大切です。
また、親権の有無にかかわらず、父母には子どもを扶養する責任があります。
共同親権にすれば養育費が不要になる、ということでもありません。
「共同親権にすると、ひとり親家庭の支援を受けられなくなる」「親権がなければ手当を受け取れない」と、一律に考えるのは適切ではありません。
例えば、児童扶養手当は、親権や監護者の定めの有無だけで判断されるものではなく、実際に子どもを監護しているか、所得などの支給要件を満たすかによって判断されます。
利用できる支援や申請方法は制度ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。
離婚後でも、子どもの利益のために必要がある場合は、家庭裁判所の手続によって親権者を変更できることがあります。
変更には、次のような形があります。
子どもの生活に関する合意は、内容を具体的に整理して、離婚協議書などの書面に残しておくことが大切です。養育費などの金銭の支払については、公正証書の作成も検討できます。
共同親権を選ぶ場合は、日々の養育を誰が担い、どの事項をどのように相談するのかを明確にしておくと、離婚後の対応が分かりやすくなります。
当事務所では、お二人の間で合意された内容をもとに、離婚協議書の作成や、公正証書作成に向けた文案の整理をお手伝いします。
親権者や監護者をめぐって争いがある場合、相手との交渉や家庭裁判所での対応が必要な場合は、弁護士への相談が適しています。
子どもの生活を守るために、どのような内容を書面に残しておくべきか。離婚協議書の作成をご検討の方は、当事務所へご相談ください。