相続手続 遺言書作成 死後事務委任 の専門家

生命保険金の請求のしかた

保険証券や約款で契約内容を確認する

相続に関連して必要な手続きには、大きく2つあります。ひとつは被相続人が契約者で被保険者ではない保険契約に関するもの、もうひとつは被相続人が被保険者である保険契約に関するものです。 前者は、その保険契約の権利を相続人が承継することになりますので、名義変更などの手続きが必要です。後者では、保険事故の発生により死亡保険金が支払われます。保険証券で契約内容を確認し、このケースに該当する保険金の請求手続きをしましょう。 死亡保険金の請求期限は3年(簡易保険は5年)ですが、時効を逸せず、すみやかに手続きをしましょう。

請求から受け取りまでの流れ ~ステップ1 契約内容の確認と生命保険会社への連絡~

被保険者の死亡、入院・手術など保険金・給付金の支払事由が発生した場合は、「保険証券」「ご契約のしおり(定款)・約款」などで契約内容・保障内容を確認してすみやかに生命保険会社の担当者、営業所・支社・サービスセンター・コールセンターなどに連絡しましょう。 生命保険会社の保険金・給付金の請求に関する連絡先一覧 保険金・給付金は受取人本人の請求によって支払われます。契約者の遺言により保険金受取人(請求者)が変更となることがありますので、遺言がある場合、契約している生命保険会社に必ず相談してください。受取人を確認し、受取人本人から連絡してください。なお、被保険者が受取人となる保険金・給付金について、「指定代理人」などの代理人が指定されている場合は、代理人が請求できることもあります。

生命保険会社への主な連絡事項(死亡または入院した原因により、連絡事項が異なる場合があります。)

死亡保険金請求の場合給付金請求の場合
  • 保険証券の番号
  • 死亡した人の名前
  • 死亡した日
  • 死亡した原因(病気・事故など)
  • 保険金受取人の名前
  • 保険金受取人の連絡先

※死亡前の入院・手術により給付金が支払われる場合があります。

  • 保険証券の番号
  • 入院・手術・通院などをした人の名前
  • 請求内容(入院・手術・通院など)
  • 請求原因(病気・事故など)
  • 入院日・退院日・手術日・傷病名・通院の有無・受傷日

注意!

ひとつの契約に複数の特約が付加されている場合がありますので主契約・特約の支払事由や給付内容をよく確認しましょう。また、生命保険会社が異なる契約など、複数の契約に加入している場合は、すべての保険証券について確認し、請求漏れがないようにしましょう。

請求から受け取りまでの流れ ~ステップ2 請求書類の準備・提出~

ステップ1にて連絡した内容に基づいて、生命保険会社から手続きに関する説明や保険金・給付金請求書などの必要書類が案内されます。(担当者の持参・郵送などにより届けられます。) 所定の保険金・給付金請求書に必要事項を記入し、病院の診断書など必要書類を全て取り揃え、生命保険会社に提出してください。 複数の保険金・給付金を請求する場合は、各々別の請求書を必要とする場合があります。(例:1つの契約(保険証券)で、死亡保険金と入院給付金を同時に請求する場合など)

おもな必要書類の例

死亡保険金請求の場合給付金請求の場合
  • 保険証券
  • 死亡保険金請求書
  • 保険金受取人の戸籍謄本(抄本)
  • 保険金受取人の印鑑証明書
  • 被保険者の住民票
  • 死亡診断書(死体検案書)
  • 事故状況報告書(災害死亡保険金を請求の場合)
  • 給付金請求書
  • 入院・手術等診断書(証明書)※
  • 事故状況報告書(災害入院保険金を請求の場合)

※入院・手術等診断書(証明書)は生命保険会社所定のものを使用します。

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請求から受け取りまでの流れ ~ステップ3 生命保険会社での請求書類の受付・支払の判断~

生命保険会社は提出された請求書類、約款の内容に基づいて保険金・給付金の支払事由に該当するかどうかを判断します。 約款の支払事由に該当しない場合、免責事項に該当する場合、告知義務違反があった場合などには、保険金・給付金を受け取れないことがあります。 生命保険会社では約款において、支払期限を定めています。約款の規定は各社異なるため、個別に確認が必要です。支払期限経過後に支払われた場合は、生命保険会社は遅延利息を支払います。

注意!

生命保険会社は、治療の内容・傷害の状態・事故の状況などについて提出された書類や診断書に関し、詳細な事実確認をおこなうことがあり、その場合、支払期限を約款所定の日数まで延長することがあります。正当な理由なく受取人などが確認を妨げ、または応じなかった時には、生命保険会社は遅延利息を支払いません。

請求から受け取りまでの流れ ~ステップ4 保険金・給付金の受取内容・金額の明細確認~

保険金・給付金は受取人指定の金融機関口座に振り込まれます。保険金・給付金の受取内容・金額の明細書が送付されるので内容を確認してください。保険金・給付金が支払われない場合には、理由について書面などで通知・説明されます。

契約の形態によって課税される税金が違う

死亡保険金には、契約の形態によって相続税、所得税+住民税、贈与税のいずれかが課税されます。相続税が課税されるケースで受取人が相続人の場合は、非課税枠の適用があります。

死亡保険金にかかる税金

契約の形態契約者被保険者受取人課税される税金
契約者と被保険者が同じ被相続人被相続人相続人A相続税
契約者、被保険者、受取人が違う相続人A被相続人相続人B贈与税
契約者と受取人が同じ相続人B被相続人相続人B所得税+住民税 (一時所得。年金形式の場合は雑所得)
契約者:保険料を負担する人 被保険者:保険事故の原因となる人 受取人:保険金を受取る人

相続放棄と保険金の関係

特定の相続人を受取人とする契約の場合、保険金を受け取る権利はその相続人固有の権利であり、民法上の相続財産には含まれません。 したがって、相続を放棄した場合でも保険金を受け取ることができます。受取人が「相続人」となっている契約でも同様です。 ただし、被相続人自身を受取人とする死亡保険金は相続財産になりますので、相続放棄をした人は承継することができません。また、このような契約では、遺産の調査を十分しないうちに保険金を請求すると、相続を単純承認したとみなされ、放棄をすることができなくなります。

保険金・給付金が受け取れない場合

保険金・給付金が支払われない場合として「支払事由に該当しない場合」、「免責事由に該当した場合」、「告知義務違反による解除の場合」などが約款に定められています。生命保険会社によっては異なる場合もあるため、詳しくは契約している生命保険会社の「ご契約のしおり(定款)・約款」を確認してください。
  1. 支払事由に該当しない場合
    • 支払事由の原因が責任開始前に生じている場合 高度障害保険金や入院給付金など(死亡保険金を除く)について、保障の責任開始前に生じた病気や事故を原因とする場合は、保険金・給付金を受取れないことが一般的です。
    • 入院・手術が支払事由に該当しない場合 入院した日数が約款所定の日数に満たない場合、約款所定の支払日数の限度まで既に入院給付金を受取っている場合、入院先が約款所定の医療機関でない場合、治療を目的としない入院の場合などは、入院給付金が受取れません。また、「手術」が約款既定の「支払い対象となる手術の種類」に該当しない場合は、手術給付金は受取れません。
  2. 免責事項に該当した場合
    • 死亡保険金の免責事由の例
      • 契約した保険の責任開始日方一定期間内(1~3年)に被保険者が自殺したとき
      • 契約者または死亡保険金(給付金)の受取人の故意によって被保険者が死亡したとき
    • 災害保険金・入院給付金の免責事由の例
      • 契約者、被保険者または災害保険金受取人の、故意または重大な過失により被保険者が死亡、入院したとき
      • 被保険者の犯罪行為があったとき
      • 被保険者の精神障害を原因とする事故によるとき
      • 被保険者の泥酔の状態を原因とする事故によるとき
      • 被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転しているときに生じた事故によるとき
      • 被保険者が法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故によるとき
  3. 告知義務違反による解除の場合 現在の健康状態、過去の傷病歴、職業などについて事実を告げなかったり、偽りの告知をしたなどの「告知義務違反」があった場合は、営業職員などから告知を妨げられたり、告知しないことを勧められたときを除き、告知義務違反により契約・特約が解除となり、保険金・給付金が受取れないことがあります。
  4. 重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効 保険金や給付金をだまし取る目的で事故を起こした、などの重大事由で契約が解除となった場合、契約の加入や復活に際して詐欺など不法行為があり契約が取消・無効になった場合には、保険金・給付金は受取れません。

保険金・給付金の受け取れる場合・受け取れない場合の事例

おもな保険金・給付金の内容と保険金等を受け取れる場合、受け取れない場合の代表的な事例を参考として挙げています。生命保険会社・商品や加入の時期によって取り扱いが異なる場合がありますので、詳細につきましては、必ず契約している生命保険会社に問い合わせてください。

死亡保険金

被保険者が死亡した場合に受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
契約前に「血圧が高いこと」について告知書で正しく告知して加入し、その1年後に「高血圧」を原因とする「脳卒中」で死亡した場合。契約前の「慢性C型肝炎」での通院について、告知書で正しく告知せず加入し、その1年後に「慢性C型肝炎」を原因とする「肝がん」で死亡した場合。

※受取れない場合の事例は、告知義務違反により契約が解除された場合の事例です。

災害死亡保険金

被保険者が不慮の事故または所定の感染症により死亡した場合に受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
運転中に信号無視の車に衝突され、死亡した場合。被保険者が、危険であることを認識できる状況で高速道路を逆走して対向車と衝突し、死亡した場合。

※受取れない場合の事例は、免責事項(重大な過失)に該当する場合の事例です。

高度障害保険金

被保険者が所定の高度障害状態になった場合に受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
契約後の事故による負傷で両目の損傷が激しく、両眼球摘出手術をおこなうなど回復の見込みがない場合。契約後に網膜剥離で矯正視力が左右ともに0.02以下になったが、回復の見込みがあって治療を続けている場合。

※受取れない場合は所定の高度障害状態に該当しない場合の事例です。

特定疾病保険金(三大疾病保険金)

被保険者が、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病により、所定の状態に該当した場合に受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
契約後に「胃がん」の診断にて手術を受け、病理組織解剖診断により、生まれて初めて所定の悪性新生物であると診断確定された場合。契約後に「子宮頸がん」の診断を受け、病理組織解剖診断により、上皮内がんを診断確定された場合。

※受取れない場合の上皮内がんは、所定の悪性新生物に該当しないので、受取りの対象外です。

リビング・ニーズ特約保険金

被保険者が余命6か月以内と診断されるときに死亡保険金の全部または一部を受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
リビング・ニーズ特約保険金の請求時に、日本で一般に認められた医療による治療を行っても、余命6か月以内と診断されている場合。3年前に脳梗塞で医師から余命6か月以内と判断されたが、その後回復し、請求する時点では余命6か月と判断されていない場合。

※受取れない場合は、請求時に被保険者が余命6か月いないと判断されていないので、受取の対象外です。

疾病障害保険金

被保険者が疾病により所定の身体障害の状態になった場合に受取れる保険金
受け取れる場合受け取れない場合
契約後に発症した糖尿病性腎症から「慢性腎不全」が進行し、腎臓の機能を全く永久に失った状態となり、人工透析治療を受けた場合。「糖尿病」と診断され、血糖値上昇を抑制するためにインスリン治療を受けたが、合併症を原因とする所定の障害状態にない場合。

※受取れない場合は、所定の身体障害の状態に該当しない場合の事例です。

疾病・災害入院給付金

被保険者が病気やけがにより入院した場合に受取れる給付金
受け取れる場合受け取れない場合
契約後に発症した「椎間板ヘルニア」で入院した場合。契約前に発症した「椎間板ヘルニア」で入院した場合。
※受取れない場合は、契約前の発症による入院であり、所定の入院に該当とない場合の事例ですが、契約内容によっては受取れる場合があります。
受け取れる場合受け取れない場合
医師による治療が必要であり、自宅等での治療が困難なため入院した場合。定期的な健康診断目的で人間ドッグを受けるためだけに入院した場合。

※受取れない場合は、治療を目的としない入院であり、所定の入院に該当しない場合の事例です。

手術給付金

被保険者が病気やけがにより所定の手術をした場合に受取れる給付金
受け取れる場合受け取れない場合
「急性虫垂炎」のため、虫垂を切除する手術を受けた場合。骨折の治療の後、骨折した部位を固定するためのボルトを抜く手術(抜釘術)を受けた場合。

※受取れない場合は、所定の手術に該当しない場合の事例ですが、契約内容によっては受取れる場合もあります。

通院給付金

被保険者が病気はけがで入院給付金の支払事由に該当する入院をし、退院後その治療を目的として通院した場合に受取れる給付金
受け取れる場合受け取れない場合
骨折の治療のため12日間入院の後退院。その後骨折の継続治療で同じ病院に3日間通院した場合。骨折の治療のため12日間入院の後退院。その直後インフルエンザを発症し、インフルエンザの治療で同じ病院に3日間通院した場合。

※受取れない場合は、入院した原因の治療を目的とする通院でないため、受取の対象外です。

特定損傷給付金

被保険者が不慮の事故により骨折・関節脱臼・腱の断裂などに対する治療を受けた場合に受取れる給付金
受け取れる場合受け取れない場合
自転車で走行中に転倒し、右腕を骨折した場合。骨粗しょう症で加療中に、立ち上がろうとして片手に体重をかけてしまったところ右腕を骨折した場合。

※受取れない場合は、疾病を原因とする骨折と考えられる場合の事例です。

障害給付金

被保険者が不慮の事故により所定の身体障害の状態になった場合に受取れる給付金
受け取れる場合受け取れない場合
交通事故によるけがが原因で事故の日から180日以内に片耳が全く聴こえなくなり、その回復が見込めない場合。大腿骨を骨折し、病院で治療を行い、完治した場合。

※受取れない場合は、所定の身体障害の状態に該当しない場合の事例です。

分からないことや困ったことがある場合の連絡先

  • 一般的な相談 個別の契約内容以外の、一般的な相談については、「(公財)生命保険文化センター」や「(社)生命保険協会の生命保険相談所」でも対応しています。
  • 苦情 営業職員や保険代理店、生命保険会社とのトラブルが生じ、生命保険会社と交渉しても解決せず、困った場合、「(社)生命保険協会の生命保険相談所」でも苦情の申し出に応じています。
  • 紛争 苦情などが解決せずに生命保険会社との間の紛争に発展する場合には、「(社)生命保険協会の生命保険相談所」内に裁定(裁判外紛争解決支援)をおこなう機関として設置された「裁定審査会」を利用する方法もあります。 ※裁定審査会は、「(社)生命保険協会の生命保険相談所」が契約者などからの苦情解決の申し出を受け、生命保険会社へ解決を依頼した後、原則として1か月を経過しても問題が解決しない場合に申し立てることができます。裁定にかかる費用は無料です。
一般相談苦情受付時間TEL
(公財)生命保険文化センター 生活情報室×月曜~金曜 9:30~16:0003-5220-8520
(社)生命保険協会(本部) 生命保険相談所月曜~金曜 9:00~17:0003-3286-2648
(社)生命保険協会の生命保険相談所では、各都道府県主要都市53か所に連絡所を設置して相談に応じています。連絡所の電話番号は(社)生命保険協会の生命保険相談所にお問い合わせください。
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