遺言書が必要なケース:財産を浪費したドラ息子に財産を渡したくない
将来、相続があった場合に、遺産を譲りたくない相続人がいるときは、廃除という手続きで相続権を奪うことが可能です。 ただし廃除は簡単に認められるわけではなく、
①被相続人に対する虐待
(状態的に罵声を浴びせたり、殴る、蹴るの暴行を加えた。寝たきりの親を監護せず、食事も与えず衰弱させた。など) ②被相続人に対する重大な侮辱
(日頃から人目もはばからず無能呼ばわりした。私的な秘密を公表し、名誉を傷つけた。など) ③その他の著しい飛行
(定職に就かず、繰り返し親に金を無心したり財産を盗んだりした。妻と子を棄て、愛人と同居していた。など) などの特別な事情が必要です。
廃除を希望する場合は、これらの理由に基づいて家庭裁判所に廃除請求の申立てをおこなうことが必要です。
廃除の申立ては、生前におこなうこともできますが、遺言書に廃除の意思を表示し、遺言執行者に手続きを託すことでおこなうことも可能です。 ただし、家庭裁判所は廃除を認めるかどうか慎重な判断をおこなうので、簡単には認められません。
1円も遺産を譲りたくないという意思があっても、廃除が認められない場合を想定し、遺留分(相続人が持っている最低限の取り分)に配慮した遺言書を
専門家を一緒に作成することが必要です。 なお、廃除の対象となるのは、配偶者、子(とその代襲者)、父母(祖父母)です。
兄弟姉妹(または甥・姪)は、遺留分がありませんので、遺言書で遺産分けの指定をすれば、自由に相続権を奪うことができます。