相続手続 遺言書作成 死後事務委任 の専門家

離婚の慰謝料や財産分与に関する税金

慰謝料も財産分与も、金銭で支払われる場合は、受け取る側にも支払う側にも原則として税金はかかりません。

ただし、受け取った財産が、離婚に関する一切の事情を考慮してもなお、多すぎると税務署に判断された場合は、その超過部分に贈与税が科せられることがあります。
家や土地などの不動産や株式など、評価価格が変動する財産を分ける場合は、実際には売買していなくても、分与する側が資産を売却して得た代金を相手に支払ったものとみなされ、渡す側に譲渡所得税が課せられる場合があります。

また、不動産を受け取る側には不動産取得税と、不動産の名義変更にかかる登録免許税、また不動産の所有者になると、毎年、固定資産税を納める必要があります。
居住用の不動産であれば、譲渡所得の特別控除や、所有期間によっては軽減税率が適用されることがあります。

また、結婚20年以上の夫婦であれば、自宅用の不動産の贈与については、一定の条件のもとに、贈与税が非課税扱いになりますので、場合によっては離婚前に分与するほうがメリットがあります。
不動産を慰謝料や財産分与の対象にする場合は、税理士にしっかりとコンサルティングをしてもらうのがおすすめです。

国税庁ホームページのリンク(タックスアンサー)

・離婚して財産をもらったときの税金「贈与税」

・離婚して土地や建物を渡したときの税金「譲渡所得税」

・不動産の名義変更にかかる税金「登録免許税」

・譲渡所得の特別控除について

・譲渡所得税の軽減税率について

・夫婦間で行われる贈与の特別控除について

東京都主税局のリンク

・不動産を受け取る場合の税金「不動産取得税」

・不動産の所有者が毎年払う税金「固定資産税」

離婚協議書は相手と会わなくても作成できます

公正証書で離婚協議書を作成する場合、原則として、離婚する夫婦ふたりが公証役場に出向き、書面に署名・捺印をしなければいけません。 しかし、中にはすでに別居をしており、「もう相手とは顔を合わせたくない…」という方もいらっしゃるでしょう。

そういった場合、夫婦の一方から、あらかじめ委任状をもらっておくことで、代理人が署名・捺印をおこなうことができます。 (ただし、委任状の書面は、公証人指定のもの、代理人として指名できるのは、行政書士などの有資格者に限るなどの条件はあります。)

委任は夫婦双方がすることもできます。 「お互い仕事が忙しくて公証役場に行けない。」という場合は、代理人のみで書類を作成することも可能です。

離婚協議書を公正証書で作る場合の手数料

離婚協議書を公正証書で作成する際は、公証人に対して支払う手数料が発生します。
手数料は下記の料金表に、分与する財産の金額、慰謝料の金額、養育費の金額などをあてはめて算出されます。
また用紙の枚数(一枚250円)による料金も加算されます。
計算方法は、それらの合計額を単純に合計したものではなく、一定のルールに従って算定されます。

目的の価格手数料
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1,000万円まで17,000円
3,000万円まで23,000円
5,000万円まで29,000円
1億円まで43,000円
3億円まで、5,000万円ごとに13,000円加算
10億円まで、5,000万円ごとに11,000円加算
10億円超は、5,000万円ごとに8,000円加算

手数料の参考例

各項目をクリックすると、詳細がご覧いただけます。
・慰謝料250万円のみの場合>>クリックして手数料を確認する
慰謝料を上記の表に当てはめると、11,000円になります。用紙代2,000円程度を加算し、合計は13,000円程度になります。
・慰謝料100万円、養育費(長男15歳、長女12歳で月3万円、20歳まで)の場合>>クリックして手数料を確認する
慰謝料と養育費の支払いは、それぞれ別々の法律行為として、別々に計算されます。
慰謝料は100万円なので、上記の表に当てはめると、5,000円になります。
養育費は、最長10年までの金額が算定の基礎になります。長男は年間36万円×5年間で180万円、長女は年間36万円×8年間で288万円、合計468万円を上記の表に当てはめると、11,000円になります。
用紙代2,000円程度を加算し、公証人手数料は合計で18,000円程度になります。
・慰謝料200万円、財産分与(夫から妻に900万円)、養育費(長男2歳のみで月2万円、20歳まで)の場合>>クリックして手数料を確認する
慰謝料と財産分与は合算、養育費は別に計算されます。
慰謝料200万円、財産分与900万円を合算すると1,100万円なので、上記の表に当てはめると23,000円になります。
養育費は、最長10年までの金額が算定の基礎になります。養育費は年間24万円×10年間で240万円となり、上記の表に当てはめると、11,000円になります。
用紙代2,000円程度を加算し、公証人手数料は合計で36,000円程度になります。
・慰謝料、財産分与なし、年金分割、養育費(長男2歳のみで月額4万円、20歳まで)の場合>>クリックして手数料を確認する
年金分割は具体的な金額の算定が不能ということで11,000の定額となります。
養育費は、最長10年までの金額が算定の基礎になります。養育費は年間48万円×10年間で480万円となり、上記の表に当てはめると、11,000円になります。
用紙代2,000円程度を加算し、公証人手数料は合計で24,000円程度になります。
公正証書を作成するにはそれなりの費用がかかりますが、のちのちのトラブル防止のための保険という意味合いを考えれば、惜しむべき出費ではありません。

離婚協議書は公正証書で作成するのがおすすめ

公証人との打ち合わせ (2)
離婚協議書は、当事者(離婚する夫婦2人)だけで作成することも可能ですが、公正証書で作成することがおすすめです。

公正証書は、公証役場という機関に勤める「公証人」が作成する法律文書のことです。
公証人は、裁判官・検察官・弁護士など、多年にわたる法律実務の経験を持つエキスパートの中から法務大臣が任命する公務員です。
離婚協議書は個人間の私的な(プライベートな)取り決めですが、それを公文書として作成することができるので、大きなメリットがあります。

高い証明力と社会的信頼

公正証書は、文書の作成時に当事者の身分照会や意思確認を必ず行い、作成したあとの文書も控えを取ってあるので、万が一トラブルが起きたときに、公証人がその文書の真正性(偽造されていないこと、脅しや無理強いされて作られたものでないこと等)を公に証明してくれるというメリットがありますし、内容を改変することもできません。

また、公正証書は公文書という性質を持っているので、第三者に対してもその効力を証明することができます。 離婚協議書を利用しての諸手続きも、公正証書であればスムーズに進みます。

強制力

公正証書で作成した離婚協議書には「強制執行認諾条項」といって、「慰謝料や養育費などを相手方が約束通り支払わない場合は相手方の財産を差し押さえて強制的に支払わせることができるという条文」を記載することができます。

私文書(私製)で作成した離婚協議書の場合、裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行(給与など相手方の財産を差押さえることによって回収すること)をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐに執行手続きに入ることができます。

公正証書作成には、財産分与や養育費の金額などに応じて別途手数料がかかりますが、以上のようなメリットがありますので、将来的なトラブル防止という観点で、当事務所では原則として公正証書での離婚協議書作成をおすすめしています。

公正証書ができるまでの流れ

公正証書は以下の手順で作成していきます。

1.離婚協議書の内容を決める
ご相談

お客様、相手方双方と打合せをして、離婚協議書の内容を決めていきます。
利用する公証役場も、合わせて決めていきます。

↓

2.文面と日程の調整
公証人との打ち合わせ (1)

当事務所と公証人の間で打合せをして離婚協議書の文面を調整します。
お客様には難しい文章をご自身で書いていただく手間はありません。
文面については、適宜お客様にご提示し、確認していただきます。
文面が確定したら、公証役場に出向く日程を調整します。

↓

3.公正証書を完成させる
契約書にサイン

公証役場に出向き、公証人立会いのもと、書面に署名・捺印して、公正証書を完成させます。
お客様ご自身で手数料をお支払いいただき、書類を受取ります。
公証役場での手続きは30分もあれば完了します。
※公証役場を利用できる時間は平日の午前9時~午後17時の間に限ります。
※ご高齢の方、またはご病気などで公証役場に出向くことが難しい場合は、ご自宅や病院・施設等に公証人が出張してくれるサービスもあります。その際は、出張手数料として、公証人の報酬が1.5倍に加算されます。

”面会交流権”子どもと離れて暮らす親の権利

子どもと離れて暮らす親には、離婚後、子どもと会ったり連絡をとったりする権利(面会交流権)があります。 離婚をして親権がなくなったとしても、親子であることに変わりありませんし、親子の交流は子どもの成長にとって重要なものであるという考えに基づいています。

面会交流について決めなくても離婚はできますが、離婚後の話し合いはむずかしい面もあるので、事前に取り決めをしておくのが望ましいといえます。

具体的には、会う頻度や面会の時間、場所などを話し合いのなかで細かく決めていきます。子どもを引き取った側は、別れた相手と会わせたくないと思っても理由なく面会を拒否することはできません。

ただし、相手が暴力をふるう、養育費を支払う義務や能力があるのに支払わない、一方の親の悪口を言う、など、子どもの福祉(幸せ)に害がある場合は、面会の拒否や制限をすることができます。
相手に理由を説明して拒否を申し入れても納得しないときは、家庭裁判所に「面会拒否の調停」を申し立てることもできます。

子どもの養育費はどうやって決めるのか

親には未成年の子どもを養育する義務があり、子どもには扶養を受ける権利があります。 離婚して夫婦は他人になっても親子関係はとぎれませんので、子どもと離れて暮らすことになった親にも養育費を支払うことで扶養の義務を果たす必要があります。

養育費には、子どもの衣食住に関する生活費、教育費、医療費、小遣いなどの娯楽費などが含まれます。 離婚後は、父母がそれぞれの経済力に応じて養育費を分担します。

通常は、子どもを引き取って育てる親に、引き取らないほうの親が養育費を支払います。 養育費を何歳まで支払うかは協議で自由に決めることができますが、「満20歳まで」とするのが一般的です。 (高校卒業まで=満18歳や、大学卒業まで=満22歳とすることもあります。)

養育費の金額に法的な規定はありませんが、養育費・婚姻費用算定表(調停や裁判で使用されている参考資料)がひとつの目安になります。

具体的には父母の収入や財産、生活水準などを基準に判断します。 (離婚後も子どもの生活水準が大きく変化することがないように配慮することが必要です。)実際に支払われている金額は子ども一人につき、月額2万~4万円が多いようです。

支払は毎月、一定額を金融機関に振り込む方法が一般的です。(一度にまとめて支払うと、受け取った側が浪費する可能性があるため。)

離婚後の親権・監護権|共同親権と単独親権、子どもの生活の決め方

未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときは、親権者や離婚後の子どもの生活について考える必要があります。
2026年4月1日の改正民法施行により、離婚後も父母双方を親権者とする「共同親権」を選べるようになりました。
父母の一方を親権者とする「単独親権」を選ぶこともできます。
大切なのは、子どもが安心して暮らし、成長できる環境を整えることです。
親権者の決定と併せて、誰と暮らすのか、日々の世話をどう分担するのか、養育費や親子交流をどうするのかを具体的に考えましょう。

親権と監護権の違い

親権

親権とは、未成年の子どもの養育や財産管理などを行うための権利と義務です。
対象となるのは、原則として18歳未満の子どもです。
親権には、大きく分けて次の内容が含まれます。

内容主な役割
身上監護子どもの身の回りの世話、教育、住む場所の決定など
財産管理・法定代理子どもの財産を管理し、契約などの法律行為について代理や同意をすること

親権は、子どもの利益のために行使するものです。
また、親権者になるかどうかにかかわらず、父母には子どもの人格を尊重し、養育・扶養する責任があります。

監護権・監護者とは

監護権は、一般に、子どもと生活して世話や教育をする「身上監護」に関する権利と義務を指します。
その役割を担う者として定められるのが「監護者」です。
離婚後に共同親権とする場合でも、父母の一方を監護者に定めることができます。
父母の合意で決められない場合には、家庭裁判所の手続を利用します。
共同親権であっても、一方が監護者に指定されている場合、その親は子どもの監護・教育、住む場所、職業に関する事項を単独で決定できます。
ただし、監護者であることだけで、子どもの財産管理や身分行為の法定代理まで単独で行えるわけではありません。
単に子どもと同居することと、法律上の監護者を定めることは区別して考える必要があります。

離婚後の親権はどうきめる?

離婚後の親権には、次の2つの形があります。
①共同親権=父母の双方が親権者になる。
②単独親権=父母の一方が親権者になる。

協議離婚では、父母の話し合いによって決めます。合意できない場合は、家庭裁判所の手続で解決を図ります。
法律上、共同親権と単独親権のどちらかが原則とされているわけではありません。 子どもと父母の関係、父母同士の関係、これまでの養育状況などを踏まえ、子どもの利益を中心に判断します。

虐待やDVなどがある場合

裁判所は、次のような場合には単独親権としなければなりません。

  • 父または母が、子どもの心身に害を及ぼすおそれがある場合
  • DVのおそれやその他の事情から、父母が共同して親権を行うことが困難な場合
  • その他、共同親権にすることで子どもの利益を害する場合

ここでいうDVには、身体的な暴力だけでなく、精神的・経済的・性的なDVも含まれます。
安全に話し合えない事情がある場合は、無理に当事者同士で合意しようとせず、弁護士や支援機関に相談することが大切です。

親権者が決まっていなくても離婚届を出せる?

協議離婚では、原則として親権者を定めて離婚届を提出します。
ただし、親権者について合意できず、家庭裁判所に親権者指定の調停または審判を申し立てている場合は、親権者を定めていない状態で協議離婚の届出をすることもできます。
この場合は、申立て後に離婚届を提出し、調停・審判の手続で親権者を定めることになります。
具体的な手続や必要書類は、家庭裁判所と届出先の市区町村に確認しましょう。

親権者をきめるときに大切なこと

親権者を決める際は、子どもが安心して暮らし、成長できることを最優先に考えます。
これまでの養育状況や父母との関係、今後の生活環境、子ども自身の気持ちなどを総合的に考慮します。
子どもの年齢や成長段階によって、配慮したいことも変わります。次の表は、その目安をまとめたものです。

乳幼児期(おおむね0~5歳)日常的に世話をしてきた人との関係や、安心して過ごせる生活環境を大切にします。
食事・睡眠・健康管理など、継続して必要な世話を受けられるかを考えます。
小学生頃(おおむね6~11歳)家庭での安心感に加え、学校生活や友人関係、転居・転校による影響にも配慮します。
年齢や理解の程度に応じて、子どもの気持ちを丁寧に受け止めます。
中学生頃(おおむね12~14歳)本人の考えや希望を尊重し、学校生活や交友関係、今後の進路への影響を考えます。
父母への遠慮から、本心を言えないことがある点にも配慮します。
15~17歳本人の意向を十分に確認し、進学・就職などの希望や生活の自立に向けた見通しも踏まえて考えます。
ただし、親権者を決める責任を子どもだけに負わせないことが大切です。

※年齢区分は、配慮すべき点を整理するための目安であり、法律上の判断基準を示すものではありません。年齢や父母の性別だけで、親権者が決まるわけではありません。
子どもの意見は、15歳未満であっても、年齢や発達の程度に応じて尊重する必要があります。 「父と母のどちらを選ぶのか」と回答を迫らず、安心して気持ちを伝えられるようにしましょう。
きょうだいがいる場合には、それぞれの気持ちや、きょうだい同士の関係にも配慮しながら、子ども一人ひとりにとって望ましい生活を考えることが大切です。

共同親権では何をふたりできめる?

共同親権の場合、親権は父母が共同して行います。
ただし、一方が親権を行うことができない場合は他方が行います。
また、監護教育に関する日常の行為(日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、子どもに重大な影響を与えないもの)をするとき、こどもの利益のために急迫の事情があるときには、親権の単独行使ができます。

個別具体的な事情にもよりますが、日常の行為に当たる例、当たらない例として次のようなものがあります。

日常の行為に当たる例(単独行使可)日常の行為に当たらない例(原則として共同行使)
  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 通常のワクチンの接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可
  • こどもの転居
  • 進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設など)

※父母の一方を監護者に定めている場合、その親は、子どもの監護・教育や住む場所などに関する事項を単独で決定できます。ただし、監護者であることだけで、財産管理まで単独で行えるわけではありません。

父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合などの急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行使できます。
①DVや虐待からの避難(転居を含む)をする必要がある場合
②こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
③入学試験の結果発表後に入学手続きの期限が迫っている場合
などが具体例としてあげられます。

父母の意見がまとまらないときは

共同で決める必要がある事項について話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に「親権行使者の指定」の調停・審判を申し立てることができます。
これは、進学先の決定など、特定の事項について、父母のどちらか一方が単独で親権を行使できるようにする手続です。共同親権そのものを単独親権に変更する手続とは異なります。

親権と併せて、離婚後の生活を具体的に決めましょう

親権者を決めるだけでは、離婚後の子育ての方法がすべて決まるわけではありません。
次の事項も整理しておくと、認識の違いを減らせます。

項目話し合っておきたい内容
子どもの生活主に暮らす場所、転居・転校への対応
監護の役割監護者を定めるか、日々の世話をどう分担するか
教育・医療進学や治療についての相談方法、緊急時の対応
情報共有学校生活や健康状態の伝え方、連絡手段
養育費金額、支払日、支払期間、進学費用などの負担
親子交流子どもの意向や安全に配慮した方法・頻度
見直し進学や生活環境の変化があったときの相談方法

共同親権にしても、子どもが父母それぞれの家で半分ずつ暮らす義務が生じるわけではありません。
子どもの生活に合った養育の方法を考えることが大切です。
また、親権の有無にかかわらず、父母には子どもを扶養する責任があります。
共同親権にすれば養育費が不要になる、ということでもありません。

共同親権や親権の有無は、手当の受給に影響する?

「共同親権にすると、ひとり親家庭の支援を受けられなくなる」「親権がなければ手当を受け取れない」と、一律に考えるのは適切ではありません。
例えば、児童扶養手当は、親権や監護者の定めの有無だけで判断されるものではなく、実際に子どもを監護しているか、所得などの支給要件を満たすかによって判断されます。
利用できる支援や申請方法は制度ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。

離婚後に親権者を変更することはできる?

離婚後でも、子どもの利益のために必要がある場合は、家庭裁判所の手続によって親権者を変更できることがあります。
変更には、次のような形があります。

  • 父母の一方から、もう一方への変更
  • 単独親権から共同親権への変更
  • 共同親権から単独親権への変更
離婚後の親権者の変更には、父母が合意していても家庭裁判所の手続が必要です。
離婚協議書や公正証書を作り直すだけでは変更できません。
2026年4月1日より前に離婚した場合も、自動的に共同親権へ変わるわけではありません。
変更を希望する場合は、家庭裁判所が子どもの利益の観点から判断します。

親権・監護に関する取り決めを書面に残すために

子どもの生活に関する合意は、内容を具体的に整理して、離婚協議書などの書面に残しておくことが大切です。養育費などの金銭の支払については、公正証書の作成も検討できます。
共同親権を選ぶ場合は、日々の養育を誰が担い、どの事項をどのように相談するのかを明確にしておくと、離婚後の対応が分かりやすくなります。
当事務所では、お二人の間で合意された内容をもとに、離婚協議書の作成や、公正証書作成に向けた文案の整理をお手伝いします。
親権者や監護者をめぐって争いがある場合、相手との交渉や家庭裁判所での対応が必要な場合は、弁護士への相談が適しています。
子どもの生活を守るために、どのような内容を書面に残しておくべきか。離婚協議書の作成をご検討の方は、当事務所へご相談ください。

※本記事は、2026年10月時点の法令・公的機関の案内に基づいています。

“年金分割”離婚後の女性の老後に備えて

一般的に、男女は収入の差が大きく、将来もらえる年金額にも格差が生じます。特に専業主婦が離婚した場合は老後の生活水準が低くなってしまうという問題がありました。
この問題を解消するため、平成19年4月1日以降に離婚した場合に、夫の年金の一部を妻に分割できる制度ができました。
夫が働いて収入を得て年金保険料を納められるのも妻の内助の功があってこそ…という考えに基づき、結婚している期間に支払った保険料は夫婦が共同で納めたものとみなして、将来の年金額を計算しよう。というのが年金分割の趣旨です。
ですから、年金分割は財産分与の一種といえます。

専業主婦の場合は、夫が払った保険料の一部(原則2分の1)を妻が払ったものとして、将来の年金額が計算されることになります。
共働きの場合は、2人が納めた保険料を足して半分で割ります。

ちなみにこの制度は、厚生年金や共済年金を対象にした制度です。
老齢年金は国民全員が対象の基礎年金(1階部分)と、標準報酬額に応じて支払われる厚生年金または共済年金(2階部分)の2階建ての制度になっていますが、この、2階部分を分割するのが年金分割制度なので、自営業などで、夫婦ともに国民年金に加入している場合は対象になりません。
また、自分自身の保険料納付期間が、基礎年金の受給資格を満たしていなければ、分割した年金を受け取ることはできません。

分割の対象になる婚姻期間や厚生年金の標準額を知るには、日本年金機構から「年金分割のための情報提供書」を取り寄せます。
離婚協議書を作成する際には、この通知書が公証役場への提出資料にもなります。
また、離婚後は自動的に分割の手続きがおこなわれるわけではありませんので、年金事務所などに出向き、手続きをおこなう必要があります。

年金分割のイメージ(妻が専業主婦の場合)

夫が納めた年金保険料のうち、厚生年金(共済年金)にかかる保険料が分割対象になります。

年金分割1

この、厚生年金(共済年金)保険料のうち、結婚していた期間の保険料の一部を、妻が納めていたとみなされます。

年金分割2

将来年金がもらえるようになったとき、分割した保険料に応じて、受給額の調整がおこなわれます。

年金分割3-2

”婚姻費用”離婚前の生活費も相手に請求できます

あまり聞きなれない言葉ですが、衣食住の費用、医療費、教育費など、結婚生活を送るうえでかかる生活費のことを「婚姻費用」といいます。

民法760条には、「夫婦は、その資産、収入、その他いっさいの事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」とあり、夫婦には婚姻費用を分担する義務があります。妻が専業主婦またはパート勤務で収入が少ない場合は、収入のある夫は生活費を渡さなければいけません。

同居していても夫が生活費を渡さない場合や、夫が勝手に家を出て行ったり、離婚を前提として妻子が実家に帰ったりしたときなど、夫が生活費を渡さなくなることがあります。同居、別居に関わらず、このような場合は、夫に婚姻費用の請求ができます。
離婚の話し合いが続いている間も、離婚するまでの間の婚姻費用を請求することができます。

婚姻費用の金額や支払方法に明確な基準があるわけではありませんが、養育費・婚姻費用算定表(調停や裁判で使用されている参考資料)がひとつの目安になります。

”財産分与”離婚のときどのように財産を分けるのか

離婚時に、婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産(共有財産)を分け合うことを「財産分与」いいます。
慰謝料を請求できない場合でも、夫婦で築いてきた財産があれば、離婚の原因に関係なく財産分与の請求ができます。
例えば、妻が専業主婦で夫の収入だけで生活し、預貯金や不動産の名義が夫であっても、財産を築き、維持できたのは妻の協力(内助の功)があったからとみなされ、実質的には夫婦の共有の財産とみなされます。

共有財産には、プラスの財産だけでなく、住宅ローンなど、婚姻生活から生じた債務も含まれるので注意が必要です。
対して、結婚前から所有している財産、結婚後に得た財産であっても親族からの贈与や相続などで得た財産は、各人固有の財産として分与の対象になりません。

どの財産をどのように分けるかについてや金額についてはそれぞれの貢献度を評価しながら(原則は2分の1ずつ)、話し合いで決めていきます。 財産分与には、このように「清算」としての意味合いがあります。
また、場合によっては、離婚によって生活が不安定になる側に、もう一方が生活費の援助をする意味合いでおこなう場合もあります。

日本ではあまり馴染みがありませんが、結婚する前に「結婚契約書」を作成して、夫婦各人固有の財産の範囲を明らかにしておけば、財産分与時のトラブルを回避する効果があります。

本来、不法行為に対する賠償金として支払われる慰謝料と財産分与は別のものですが、財産分与の中に慰謝料的な概念を盛り込んで分け方を調整する方法もあります。

ローンが残っている不動産は注意が必要

マイホームを購入するときは、銀行で住宅ローンを組んで、購入した不動産に抵当権(担保)を設定するケースがほとんどです。 ローンの返済途中の不動産を分与する場合は注意が必要です。
仮に夫名義不動産を妻に財産分与するという場合、銀行としては夫の収入(返済能力)を審査のうえ融資をしているため、妻の収入が十分でなければ、簡単にローン契約の名義を妻に変更してくれるわけではありません。不動産の名義を妻に変更するという場合、ローン残高の一括返済を求められることが一般的です。
ローンがまだ残っている場合は、それをどうやって返済していくのかもしっかりと決めておく必要があります。

財産分与の対象になる財産・ならない財産の例

財産分与の対象になる主な財産財産分与の対象にならない財産
結婚後に夫婦が協力して取得し維持した財産。 どちらかの名義になっていても分与の対象になる。
  • 不動産(土地・建物)
  • 現金・預貯金
  • 有価証券(株式・国債)、投資信託
  • 家財道具、自家用車
  • 保険金、保険契約の権利
  • 退職金(退職前であれば、支払いが確定している場合)
  • 債務(住宅ローンや夫婦が生活するためにできた借金)
各人固有の財産
  • 結婚前から所有している財産
  • 結婚後、父母から贈与された財産、相続した財産
  • 洋服、アクセサリー、時計、バッグなど日常的に単独で使用するもの
  • 結婚前の借金、ギャンブルや浪費によってつくった借金
  • 別居後に各人が取得した財産
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