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同性カップルの任意後見契約|パートナーに任せる権限と、次の支援者への備え

同性カップル・二人暮らしの任意後見契約

任せたい気持ちと、引き受ける力を確かめる。

判断能力が低下したとき、パートナーに何を任せるか。その人が、管理・手続き・報告を続けられるか。信頼関係と実務の見通しの両方から、お二人の備えを考えます。

将来の備えを話し合い、書類を準備する二人のイラスト

任意後見は、将来、判断能力が不十分になったときに備え、本人が支援者と任せる仕事を公正証書で決める制度です。パートナーを受任者にすることも、初めから当事務所の行政書士に任せることもできます。

同性パートナーの関係だけでは、相手の預金管理や施設契約を代理する権限は生じません。頼りたい相手を受任者にして、その権限を具体的に準備します。法律上の夫婦やきょうだいにも、関係だけを理由とする包括的な代理権があるわけではありません。

任意後見で、どんな困りごとを支えられる?

Aさんが、施設の説明を理解しにくくなったとき

Aさんの費用で施設に入る必要があるものの、Aさん自身では契約の内容を理解して判断することが難しくなったケースです。

Bさんを受任者とする任意後見が始まり、施設契約と支払いの代理権を定めていれば、BさんはAさんの代理人として契約を結び、Aさんの財産から費用を支払えます。本人が選べることや伝えられる希望を確かめ、生活の意向を尊重して進めます。

お金の管理
契約の範囲で、預貯金の管理、生活費・医療費・施設費の支払い、収入の受領などを行います。
暮らし・療養の契約
入退院、介護サービス、施設入所、住まいの維持・変更など、本人に必要なサービスを選び、契約や支払いを行います。
必要な手続きへの対応
本人が取得する財産の受領、行政手続き、専門家への依頼などを、代理権目録に定めた範囲で行います。税務や登記等は各専門家と連携します。

任意後見は、通帳を扱えるようにするだけの仕組みではありません。本人が管理状況を自分で確認しにくくなったとき、支援者の仕事を第三者が確認する仕組みも備えています。

パートナーと事務所の役割は、希望に合わせて

パートナーが受任者
パートナー自身が本人の代理人として管理・手続き・記録・報告を担います。当事務所は、業務範囲内で、記録の残し方や監督人へ確認する事項などを助言します。後見事務を代わりに引き受ける構成ではなく、助言の費用は受任者自身の負担です。
事務所が受任者
当事務所の行政書士が管理・契約の実務を担い、パートナーは本人の希望を伝え、身近な支えを続けます。「相手の療養に寄り添いたいが、お金の管理まで背負うのは難しい」といった希望に合う構成です。
複数の受任者で分担
パートナーと専門家の双方を受任者にし、療養・生活に関する事務と財産管理などを分ける構成も検討できます。誰がどの代理権を持つか、単独・共同のどちらで行うかを契約で具体化し、それぞれが担当する事務に責任を持ちます。

Aさんのための契約と、Bさんのための契約は、それぞれに必要です。互いを受任者にする場合も、本人と受任者が入れ替わる二つの契約です。Aさんはパートナー中心、Bさんは事務所中心とすることもできます。

「任せたい」と「引き受けられる」を、両方確かめます

任意後見人になると、本人の暮らしに関わる判断と、財産管理・手続き・報告の責任を継続して負います。本人の希望は大切ですが、相手の体調、仕事、事務処理の得意・不得意も含めて、無理なく担えるかを確認する必要があります。

  • 時間と健康:金融機関・役所・施設との連絡や手続きに時間を使えるか。自分の療養や仕事と両立できるか。
  • 記録・報告の力:収支を整理し、通帳・領収書等を保管して、監督人へ期限内に説明・報告できるか。
  • 財産を分ける姿勢:二人の家計であっても、本人の財産と自分の財産を区別し、支出の理由を説明できるか。
  • 本人の意思を尊重する姿勢:自分の考えを押し付けず、本人の希望を聴き、医療・介護の関係者や監督人と相談できるか。
  • 続ける見通し:相手の介護が重くなった場合や、自分も支援を必要とする年齢になった場合まで考えられているか。

引き受ける形を考える、二つの例

パートナーが担う形に向いている例:日頃から家計の収支を記録し、必要な連絡・手続きの時間を確保できる。本人の財産を分けて管理することや、第三者による監督も理解している。

専門家を受任者にすることを優先したい例:本人に寄り添う気持ちはあっても、自分の病気や仕事・介護で手いっぱいで、記録や期限管理を継続する見通しが立たない。二人とも近い時期に支援が必要になりそうな場合も、互いだけに任せる構成は見直します。

任意後見人を引き受けなくても、パートナーとして生活や療養を支えることはできます。実務を専門家に任せる場合は、契約を理解して準備できる段階で、その専門家を受任者にする構成を選びます。

監督人の選任前と選任後では、見直しの条件が違います

任意後見契約の見直し・解除
段階できること・必要な条件
監督人が選任される前本人または受任者は、公証人の認証を受けた書面で契約を解除できます。本人が新しい契約を理解して合意できるうちなら、相手や役割を選び直して、公正証書で備え直せます。
監督人が選任された後本人または任意後見人が契約を解除するには、正当な事由と、家庭裁判所の許可が必要です。当事者の希望や合意だけで、担当者を自由に入れ替えることはできません。

選任後は、本人の判断能力が不十分な状態で支援が始まっています。支援する側の都合だけで保護が途切れないよう、解除には裁判所の判断が必要になります。「とりあえず引き受けて、難しくなったら事務所へ渡せばよい」という前提で契約しないことが大切です。

選任後、パートナーが病気で続けられなくなったら

病気・長期療養などで職務の継続が困難になった場合は、正当な事由として解除を検討する場面です。まず監督人へ状況を伝え、裁判所への手続きと本人の支援を途切れさせない方法を整理します。病気という事情だけで、自動的に交代するわけではありません。

受任者が死亡した場合も、事務所へ自動的に権限が移ることはありません。別の受任者との契約があれば、その開始・権限を確認します。本人が新たな契約を結べず、別の受任者もいなければ、法定後見の利用等を検討します。

根拠:任意後見契約に関する法律第9条。選任前でも、本人がすでに新しい契約を理解できない場合は、自由に契約し直せるということではありません。解除と、その後の支援体制を一緒に検討します。

事務所の「バックアップ」は、当然に交代できるという意味ではありません。

助言する立場と、本人の代理人として実務を担う立場は異なります。実務を担う備えが必要なら、事務所側との任意後見契約、複数契約の関係、代理権、開始手続きを、あらかじめ公証人と確認して組み立てます。死後事務の待機・切替えと同じ説明にはできません。

後見事務は自分で担うことが基本。事務所の助言とは区別します

任意後見の受任者は、原則として、自ら責任を持って委任された事務を行います(自己執行)。パートナーが名目上の後見人になり、財産管理や報告などの実務を事務所へ外注する、という構成は基本にしません。

後見人自身が行うこと
本人の希望を確かめ、必要な判断・契約・支払いを行うこと。収支・財産の資料を整え、何のためにどう処理したかを、監督人へ自分で説明・報告することです。
事務所が助言できること
記録を残す際の注意点、共同生活費を区分する考え方、監督人へ相談する事項の整理など、当事務所の業務範囲内で相談に応じます。助言を受けても、後見人自身の判断・実行・報告の責任は残ります。
助言の費用を負担する人
当事務所が後見人個人に提供する助言の費用は、その後見人自身の負担です。支援を受ける本人の財産から支払う後見費用としては扱いません。相談の範囲と費用を、依頼する後見人と別途確認します。

本人に必要な税務申告を税理士へ、不動産の登記を司法書士へ依頼することは、後見人の仕事を一括して外注する話とは別です。本人のために必要な専門業務か、代理権の範囲内か、費用が相当かを確認して進めます。

民法第644条の2は、本人の許諾や、やむを得ない事由による復受任者の選任を定めています。例外を検討する場合も、契約・権限と具体的な事情の確認が必要です。「支援契約を結べば後見事務を自由に外注できる」「監督人に相談すれば当然に任せられる」とは扱いません。

契約を結んだ後、いつ任意後見が始まる?

  1. 判断できるうちに、公正証書で準備

    受任者、代理権目録、報酬、記録・報告の方法を決めて契約し、登記します。契約直後から必要な支援は、別に準備する生前の委任契約で行います。

  2. 定期連絡から、生活上の変化を把握

    お二人が健在なうちから代表者1名への連絡を続け、支払い忘れや契約内容の理解の難しさなどが増えた場合は、本人・パートナー、医療・介護関係者と状況を確かめます。

  3. 家庭裁判所へ、監督人選任を申し立てる

    本人の判断能力が不十分となり支援が必要なとき、医師の診断書等を添えて申し立てます。現行法では、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者が申立人になれます。

  4. 監督人が選任され、任意後見が開始

    任意後見人が契約の範囲で事務を行い、任意後見監督人がその仕事を確認し、家庭裁判所へ報告します。本人以外からの申立てでは、意思表示できない場合を除き、本人の同意が必要です。

パートナーを受任者にしておくことは、開始を申し立てる資格を備える意味もあります。親族関係のないパートナーは、その関係だけでは上記の申立人に含まれません。単なる相談先の事務所も同様です。誰が変化に気づき、誰が申し立てるかを準備します。

契約日、認知症の診断日、要介護認定の日に自動的に始まる制度ではありません。身体だけが不自由で判断できる場合は、生前の委任等で対応します。家庭裁判所提出書類の作成・申立代理を専門家に依頼する場合は、業務の範囲に応じて司法書士・弁護士につなぎます。

二人の家計でも、本人のお金と利益を守ります

任意後見人のパートナーが、本人の口座から二人分の費用を払う場合、本人が負担する理由・割合を説明できることが大切です。家賃や光熱費など共同生活に必要な支出と、パートナーだけのための支出を区別し、契約や領収書を残します。

本人のお金をパートナーへ贈与する、本人とパートナーの共有財産を精算するなど、双方の利害が対立する手続きを、パートナーが両側の立場で進めることはできません。現行制度では、任意後見監督人が本人を代理するなどの対応が必要です。

当事務所の「助言する立場」と、家庭裁判所が選ぶ「任意後見監督人」は別の役割です。事務所への相談によって、監督人への報告・相談が不要になるわけではありません。

任意後見とは別に備えること

医療・ケアの意思決定
任意後見人に包括的な医療同意権が与えられるわけではありません。本人の希望を確認し、医療チームへ伝える準備は、生前の支援のページで説明します。
介護・家事や費用の保証
後見人が日々の身体介護を直接提供する制度ではありません。必要なサービスを手配し、本人の資金で支払います。後見人個人が費用を保証することとも別です。
遺言と、本人の死亡後
任意後見人が本人に代わって遺言を作ることはできません。本人の死亡で任意後見は終了するため、葬送は死後事務委任、財産の引継ぎは遺言で備えます。
本人が結んだ不利益な契約
現行制度の任意後見人には、本人の判断能力の低下を理由とする取消権はありません。悪質商法等の問題が起きたときは、別の解除・取消事由や法定後見の必要性を確認し、弁護士等へつなぎます。

受任者の報酬と、監督人の報酬を分けます

事務所が任意後見人として実務を担う場合、現行の月額報酬は、管理する財産額に応じて2万~5万円(税込み・支援を受ける方お一人あたり)です。二人とも利用する場合は、それぞれの契約・管理内容で算定します。

パートナーが任意後見人となり、当事務所に助言を求める場合は、後見人となったパートナー自身との依頼・費用負担で、相談の内容に応じて見積もります。本人の財産から支払う費用には含めません。

契約を作成する費用、任意後見開始前の見守り等の費用、開始後の後見報酬、後見人個人への助言の費用は、それぞれ区分してご案内します。

任意後見監督人の報酬は、別途、家庭裁判所が決め、本人の財産から支払います。パートナーが無報酬で任意後見人を務める場合でも、監督人の費用までなくなるわけではありません。

予備の受任者に関する法改正について

2026年6月公布の改正法では、他の任意後見契約の受任者が死亡等で欠けるまでは、後順位の契約を開始しない旨の「不開始の合意」を設けるなど、次の支援者を備える制度の整備が予定されています。

このページの開始手続き・監督の説明は、2026年10月時点の施行中の制度に基づきます。成年後見関係の改正は、公布から2年6か月以内の政令で定める日に施行されます。現在の契約に、新制度がすでに適用されているものとして説明しません。

契約を準備する時点の制度、施行時期・経過措置を確認し、パートナーと事務所の役割や引継ぎ方法を具体化します。

よくあるご質問

パートナーを受任者にするために、自治体の証明書が必要ですか?

任意後見契約の一般的な成立要件として、自治体の証明書は必要ありません。本人が契約内容を理解し、受任者と合意して、公正証書で準備します。自治体の証明取得のために所定の契約が求められる場合は、別にその要件を確認します。

パートナーを見送った後、その方の契約で自分も支援されますか?

ご自身の支援は、ご自身との契約に基づきます。亡くなった方の契約が、ご自身の契約へ変わるわけではありません。相互に任せる場合も、事務所を加える場合も、お二人それぞれの契約を準備します。

すでに判断能力が低下していても契約できますか?

診断名だけで決まるのではなく、その方が任せる内容・相手・効果を理解し、意思を表せるかを確認します。理解して合意できる場合は準備を検討し、契約を理解することが難しい場合は、法定後見の利用など別の支援方法につなぎます。

二人の希望と、今の暮らしからご相談ください

「パートナーに任せたい」「最初から専門家に頼みたい」「相手を一人にした後が心配」。吉村行政書士事務所では、お二人それぞれの希望と状況を伺い、任せる人・実務が始まる時期・必要な契約を整理します。

作成済みの遺言・契約や自治体の証明書があれば、お持ちください。まずはお一人でのご相談も可能です。初回相談は無料です。

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